◆ルート
日本→中国→ベトナム→ラオス→タイ→ミャンマー→日本→ウズベキスタン→キルギス→カザフスタン→日本→イラン→UAE→イスラエル・パレスチナ→ヨルダン→エジプト→スーダン→エチオピア→ジブチ→ソマリランド→エチオピアⅡ→ケニア→ウガンダ→ルワンダ→ブルンジ→タンザニア→モザンビーク
◆2019.3.24
朝起きると体調はまずまず。
だが、やっと昨日の夕食にまともなものを食べられたのだ。
これからどんどん上向いていくはずだ。
今日はモザンビーク島を観光したいが、それよりも休養優先。
朝の1,2時間ほどでサクッと観光を終えたら、栄養補給に時間を使う。
自炊するのだ!
とりあえず街歩き。
青い空と白い建物。
ここはザンジバルと同じように、もともとイスラムがいた土地らしい。
海沿いの道を歩いていると、木陰で休む犬を見つけた。
野犬かな?珍しい。
そう言えば最近見てなかった気がする。
せっかくだから写真撮ろうかなーと思ってカメラを出そうとしていると、なんか後ろから犬の吠え声がする。
おかしいなと思って振り向くと、大きな民家の庭の扉が開いており、2匹の犬が弾丸のように飛び出してくる所だった。
気づいたときにはゼロ距離だ。
以前会った獣医の人に「犬にガチで襲われたら、石を投げて戦いなよ」って言われていたんだが、石を探す暇なんてあるはずもなかった。
走ってきたそのままの勢いで足を噛まれそうになるので、とりあえず必死に足を動かして逃げる。
犬はずっとついてきて僕の足をガツガツ噛もうとしてくるが、犬が出てきた家が見えなくなる当たりでやっと諦めて去って行ってくれた。
最悪だ。
犬に襲われていたときはまわりに人はいなかったんだが、逃げてきた場所に何人かの人がいた。
街の人が「大変だねえ」みたいな視線を送る中で、とりあえず傷口を確認。
運が良かったのか、パッと見傷などはできていないみたいだったが、よく見ると少し痛みがあるふとともにポツポツと2つの小さな傷ができていた。
まだ新しく、今にも血が出ようとしている(それも超少量だが)。
状況的に今回噛まれた傷だろう。
てか狂犬病やべえじゃん…。
本当に傷は小さいし、実はズボンも破れてなかったくらいなんだけど、流石に無視はできない。
なんとか対処しなくては。
とりあえず病院に行きたいが、逃走中にサンダルがどこかに行ってしまって、気づいたら裸足状態だった。
まずサンダルを入手すべきか?なんて考えてたら、親切な人がサンダルを回収してきてくれた。
怖くて犬の家の方に行けなかったので超助かった。
とりあえず、まずは宿に戻って病院の情報を聞くことにする。
宿のおじさんに事情を説明するも、「ダイジョーブダイジョーブ。この島の犬はみんな狂犬病の予防接種受けてるから、そんなの水で洗っておけば大丈夫だよ。」とのこと。
そんな事言われても「へー!そうなんだ!」なんて、むやみに信用できるわけなんかない。
ここまでの旅でアフリカ人がどれだけ適当かは身にしみてわかっているし、「全部」とか「みんな」とか「いつも」とかそういうワードほど信用できないものはないとわかっている。
とりあえず「一応病院に行っておきたいんだ」ということを宿の人に必死に繰り返し説明するが、理解してもらえず。「大丈夫大丈夫」しか言わない。
なんでわかってくれないんだろう。病院の場所くらい教えてくれたって良いじゃないか。
頼み続けること数分、たまたま宿にいた他の客が僕の話を聞いていて、ポルトガル語で宿の人を説得してくれた。
それによりやっと、すぐ近く歩いていける距離に病院があることを知る。
すぐに海外保険の書類等を用意して病院に出発。
途中で保険のデスクに電話をかけるが、音が小さくて全然話ができない。
まあいい、どうせかかっても数千円だろ。治療を早く受けることが優先だ。
病院に行く。
医者は英語が全くダメだった(本当に医者か?)が、なんとか翻訳アプリで状況を伝え、狂犬病の治療をしてほしいことをお願いする。
すぐに傷口を洗ってもらって、注射を一本打った。
その後、詳しく状況等を聞かれて、「これでOK。あとは傷口を洗っておいて。」と言われた。
どうやら治療は完了したらしい。
犬に噛まれてから1時間しないくらいのスピード解決だった。
最後支払いをしようと思ったら「金?そんなのいらん」みたいなジェスチャーをされた。
めちゃいい人すぎる…。
これで事件は収束したかに見えた。
「これを機に狂犬病について調べるかなー」なんて思いながら、意気揚々と宿に帰ると、他の日本人3人が宿に帰ってきていた。
この3人、JICAのマラウイ隊の隊員らしく、昨日から一緒の宿に泊まっているのだ。
そういえば2人はちょうど医療系の人だったな。
狂犬病について教えてもらいたかったので、とりあえずさっきの出来事を話す。
と、「え、狂犬病の治療って1回じゃ終わらないですよ。しかもあそこの病院、地元民も寄り付かないヤブらしいですよ」とのこと。
えぇ?マジ?
とりあえずどんな治療をしたのか確認したほうが良いということで、再度病院に聞きにいくことになった。
また炎天下の中を病院に向かう。
病院で医者に確認した所、「さっきの注射は破傷風の予防注射であること」、「この病院に狂犬病の治療薬はないこと」がわかる。
そうならそうと言ってほしかったんだけど…。
「狂犬病の治療をしてほしい」っていう要望は伝わっていたはずなのに、何も言ってくれなかったんだ!
さすがヤブ医者ってところか…。
さらに、「狂犬病なんて大丈夫!もし心配なら噛んだ犬の狂犬病予防の書類を持ってきなよ。確認してやるから。」なんて言う。
なんかめんどくさい話になってきた。
ちなみにさっき受診料を請求されなくてめちゃくちゃ感動したんだが、あとからわかったことだけど、実はモザンビークは公立病院の受診料が無料らしい。
なんだよ!感動して損したよ!!
ちなみにここで狂犬病の治療について軽く解説しておくと、基本的には噛まれてから24時間以内に暴露後ワクチンという注射を打つしかないんだそう。
それも1回だけでは終わらず、期間を開けて何回か打つ。
ちなみに僕は狂犬病の予防接種を受けているが、これは発症率が下がるだけなので、同じように治療は必要とされている。
ちなみに狂犬病の恐ろしいところは、「発症するまで、感染しているかわからない」、「発症は噛まれてから数週間~数年とかなり幅があり、いつ発症するかわからない」という点。
そのため、噛まれたときにちゃんと治療するか、犬が病原菌を持っていないことを確認しておかないと、先何年も死の恐怖と隣合わせで生きることになるのだ。
正直この時点で、治療はかなり難しいものがあった。
JICAの人曰く、モザンビークで暴露後ワクチンがあるのは南部だけらしい。
これから飛行機で行って、明日の朝までに治療できるかと言ったら難しいだろう。
となれば、これだけ島の人が「大丈夫だ」と言っているんだ。
その言葉を信じて、「大丈夫であることの確証を得る」方向で動こう。
まずはもう一度「犬の家」に行って、犬の飼い主に会おうじゃないか。
再度因縁の犬の家へ。
家の前には、最初に僕が写真を撮ろうとした犬が、最初と同じ体勢で休憩していた。
しかもよく見ると犬の家の庭のドアが閉まっている。
なんでさっき開いていたのか…まあいい。これで簡単に近づけるはずだ。
ゆっくりと周囲を警戒しながら近づく。
家の前までもう少しと言うところで、気づいてしまった。
10mほど先に犬が出現してこっちを見ている。しかも2匹。
ん?と思っていると、あっという間にわらわら犬が集まってきた。
その数ざっと10匹以上はいる。
えーー、どうなってるんだよ!!
そこまで凶暴そうな奴はいないが、流石にさっき噛まれているのでめちゃくちゃ怖い。
ちょうど「犬の家」の隣の家の前まで来ていたので、ドアを思いっきりノックして助けを求めた。
白人のおばちゃんが出てきた。
英語が通じるようなので事情を説明しようとする。
おばちゃんは、一度は「隣の問題でしょ」みたいな感じですぐに家に入ってしまったが、どこかからこっちを見ていて見るに見かねたのか、もう一回出てきてちゃんと話を聞いてくれた。
とりあえずおばちゃんに犬を制してもらう、そして「隣の家は、実は民家じゃなくて獣医である」ことを教えてもらった。
そうか、だから犬がいっぱいいたのか…。
またすぐにおばちゃんは家に入ってしまったので、このタイミングで獣医を尋ねることはできなかった。
けど、獣医とわかれば、連絡なんていくらでも付きそうである。
あの病院に戻れば、連絡先くらいわかるだろ。
なんたってこの狭い島の医療関係者なんだから。
再び病院にいく。
さっきわかったことを話してみるも、「その獣医は知ってるけど、連絡先とかは全く知らない」とのこと。
そんなことってあるのか・・・。
モザンビーク島ってホントに小さい島で、歩いて簡単に1周できるくらい。
その中で、島に一つだけある病院と獣医がお互いに知らないなんて…。
しょうがないので宿に帰って、宿の人に聞いてみる。
連絡がつくと言うので、事情を話し、狂犬病の予防状況の書類を持ってきてもらうことにした。
少し待つ。
宿の人が「今獣医から電話があって、狂犬病予防はしているから大丈夫だってさ!」と言ってくるが、いやいやそれで信用できるわけないんだが!!
まあ、あの家が獣医って聞いた時点で、まあ大丈夫なんだろうなあとは思ったが!
思ったけど!狂犬病の書類とまでは最悪言わないから、せめて大丈夫であるということを僕の目の前で直接説明してほしい!
そう言ってもう一回ここに来てもらうように要請する。
・・・しばらく部屋で待つ。
が、待てども待てども全然こない。
レセプションを覗きに行ったら、誰もいなくなってるし。
もう午後2時。
腹も減ったので、何か食べに行くことにした。
クラブサンドを頼んだが、全く食欲が無くて2口しか食べれなかった。
今日は色んな所を行ったり来たりしたせいで、昨日までの夏バテと熱中症っぽい症状が合わさって死にそう。
だけど、流石に休養よりも狂犬病問題を優先しなくては…。
追加で頼んだフルーツミックスだけなんとか完食し、宿に戻る。
帰ってベッドに倒れ込み、そのまましばらく待つがやっぱり獣医はこない。
もう一回レセプションに行ったら、夜担当の人にレセプションが変わっていた。
あいつはあのまま帰ったんかい!
しょうがないのでもう一回夜の人の一通り事情を説明、なんとか獣医の人と話したいとお願いすると、すぐに獣医のスタッフを宿まで呼んでくれた。
来てくれたのは白人女性だった。
おそらくJICAみたいにボランティアで来ているんだろう。
最初は彼女も他のアフリカ人みたいに、「大丈夫大丈夫!」な感じだったが、こっちが起こっていることがわかると、途中からちゃんと謝罪と説明をしてくれた。
彼女曰く、モザンビーク島の犬は本当にすべて狂犬病の予防接種をしているらしい。
それを実施、管理しているのがあの獣医なんだそうだ。
まだ予防接種していない犬は、個室に入れてあるそうなので、一般に放たれている犬に危険はないんだそう。
そこまで聞いてやっと納得することができた。
最後に連絡先を交換。
「もし万が一」あの犬が狂犬病にかかっていたら、2週間以内に発症、変死するはずである。(犬の場合は人間より短いらしいので。)
そうなったら連絡をくれとお願いをした。
それにより、狂犬病にかかっている可能性があるかどうか判断できるからだ。
まあ、もうその時点では治療もできないから、全て遅いけどね。
でも、逆に言うとこれで連絡がなかったら、絶対OKという確証を得る事ができる。
先にも書いたけど、狂犬病の恐怖は「かかっているかもという可能性」を拭いきれないこと。
良くも悪くも、これで最終ジャッジができるのです。
やっと、一連の騒動が終結した。
いろいろたらい回しにされて、結局事件発生から8時間もかかってしまった。
その間何度も思ったが…本当にアフリカ人って適当!
なんで人の命がかかってるのに、あんなに適当な対応ができるんだろう。
まああっちからすれば「大丈夫に決まってんじゃん。なに慌ててんの?」って思ってるだけなのかもしれないけど。
ほんと、今日一日で何度も何度もイライラしたし、気が狂いそうだった。
しかも最後治めてくれたのは、アフリカ人じゃなかったって言うね!
今日という日で完全に犬とアフリカ人が嫌いになてしまったな…。
夕飯。
レストランに行っても、まともなものが食べられる食欲がなかったので、適当に自炊することにした。
ケニアで買って、バッグにずっと入っていたインスタントラーメン。
商店で、調味料(と言ってもコンソメとトマトソース)を入手。
あとパスタも購入。
これから野菜を買いに行こうと思ったんだけど、近くの野菜マーケットがもう閉じているみたいだった。
結局、ラーメンにパスタを足したやつ(コンソメで味調整)。
栄養価最悪である。
まあ麺類だから食べやすかったのが唯一の良かった点。
一応、明日もう一日この島にいることにしました。
明日こそ、観光+休養を…。
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