突然ですがジンバブエという国を知っていますか?
一時は凄まじいハイパーインフレによって有名になった国だったのですが、一度自国通貨の廃止を行い、アメリカドルを使うようにすることで、ハイパーインフレから逃れたのでした。
一度自国通貨を捨ててまでインフレを解決したはずなのに、ジンバブエではなぜか最近また酷いインフレが起こっているようなのです。過去の経緯や、現在のジンバブエの状況について、実際にジンバブエで見てきたことも交えて解説したいと思います。
過去の「ハイパーインフレ」で有名な国ジンバブエ
ジンバブエはアフリカ南部の貧しい国です。
この国が恐ろしいハイパーインフレに向かっていったのは2005年頃からです。
それまでも少しずつインフレが発生していたらしいのですが、2005年頃に堰を切ったように爆発的なインフレが始まり、2008年にはなんとインフレ率が2億3100万%にまで到達。
去年1,000円で買えたものが今年は2,000億円するというような感じです。
もう誰も自国の通貨を信用していませんでした。
それにしても億の単位って凄まじいですね。実質ジンバブエ・ドルは価値を持たないものになり、国民はアメリカドルを使うようになりました。
そして2009年にジンバブエ・ドルは発行停止。その後しばらく法律上は使えるようになっていましたが、2015年に正式にジンバブエ・ドルは廃止されました。
インフレ解消後、実際に訪れてみた【2019年】
僕がジンバブエを訪れたのは2019年。ジンバブエ通貨が使われなくなってから10年ほど。正式に廃止されてから4年ほど。
ジンバブエでは新しいジンバブエ・ドルが発行されていました。
新しいジンバブエ・ドルもインフレ中だった?
こちらが今使われている新しいジンバブエドルです。
従来のものと区別するため、ボンドノートとか、ボンドドルとか呼ばれています。
金額を見ると2ジンバブエですよね?まともな数字です!!
この新しいジンバブエ・ドルは、1ジンバブエ・ドル=1アメリカ・ドルとなるように、固定為替制度で運用されているらしいのです!これならもうインフレになることはないですね!!
と思っていたのですが、それは実は間違いでした!
スーパーのコーンフレークです。これで12ドル?高くないですか?
小さめの缶ジュースが2ドル…これがアメリカドルだったらおかしい!
いろいろ現地の人に確認してみてわかったのですが、やはりまたジンバブエ・ドルはインフレしていました!
2016年頃に導入されたボンドノート。当初は金融政策のために導入され、固定為替通貨制で米ドルと1対1の関係をキープしていたようですが、2018年ころからなぜかインフレが始まり、
僕が訪れた2019年には1アメリカドル=3もしくは4ジンバブエドルという為替になっていたのです!
これもすべて政府の失策が原因らしいです。
お土産用に買える!旧ジンバブエ・ドル
街を歩いていると物売りからお土産を買わないかと言われます。
そのおみやげの中には旧ジンバブエドルもありました!
こちら
こちらは500億ジンバブエドル紙幣です。やはり桁が凄まじいですね!
他にもいろいろな金額の紙幣がよりどりみどり!
すべて数ドルで買えます。
今再びハイパーインフレが進行中。何故なのか?
2019年にすでにインフレが進んでいたジンバブエ。2021年現在の状況はどうなっているのでしょうか?
ジンバブエの知り合いに聞いてみたところ、やはりインフレは更にひどいことになっているみたいです。
正確な為替はよくわからなくなっているらしいのですが、ジンバブエにいる彼は1アメリカドル=150ジンバブエ・ドルになっていると言っていました。
2年前の10倍以上ですね。2008年の億を越えるようなインフレにはなっていないようですが、かなり先行きが怪しいです。
ちなみに今ジンバブエでは、一部の場所で自国の通貨の他に米ドルが使えるようになっています。
皆米ドルが使える場所で買い物などをして、なるべくジンバブエ・ドルを持たないようにしているようです。
すべての原因は独裁政権のせい 大統領は変わったが国は変わらず…
ジンバブエがこんなにもスーパーインフレに悩まされている背景には、愚かな独裁政治の存在があります。
ジンバブエは長らくロバート・ムガベという方が大統領を務めてきました。
その期間なんと37年間!1980年に最初に大統領の座に就いてから、2017年に辞任するまで、何度かクーデターを起こされつつもずっと大統領の座を守ってきたのです。
また2017年に引退してからも、彼が実質的に国を操ってきました。
詳しくは割愛しますが、彼の金融政策の失敗が前回と今回のインフレを呼んだと言われています。
次の大統領、エマーソン・ムナンガグワ氏も、、、
その状況が変わったのも2019年です。
なんとムガベ前大統領が病死します。95歳でした。
その後を引き継いだエマーソン・ムナンガグワ氏も金融政策は全く成功しておらず、むしろ汚職などはムガベ大統領よりもひどいらしいです。
国民は口を揃えて「ムガベ大統領のほうがマシだった」と言っているそうです。
ジンバブエの国民の貧しさは続く
ジンバブエの知り合いに今のジンバブエの話を聞いたとき、彼に「生活が苦しいから50ドル貸してほしい」と言われました。
彼はジンバブエの鉄道の技師や電車の乗務員の教官などをしていた、割とジンバブエでは裕福な方の人だったのですが、こんな形で助けを求めてくるというのはかなりジンバブエの人たちが困っていることが伺えました。
失敗を繰り返しているジンバブエですが、早くこのインフレのループから抜け出してほしいものです。
以前ジンバブエに言ったときの記事はコチラ↓
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