エンディング ーその後、コロナが来てー
僕がのんきにメキシコ旅行を楽しんでいる頃、アジアでは大変なことが起こっていた。
そう。コロナがやってきたのだ。
ちょうどこのメキシコ旅行の最中にダイヤモンドプリンス号では、バッタバッタと人が倒れ始めた。
そのニュースは当然カナダにも届き、旅行明けの僕の職場では、次第にコロナの話でもちきりになっていった。
2月の下旬ころから徐々に国内の感染者の噂が流れ初め、3月に入り、トロントのダウンタウンの店でも感染者が出始め、ところどころ消毒のための閉店が目立つようになってきて、
3月半ばでカナダの首相の奥さんが感染したことで、国民の間にも危機感が出てきた。
そして生活必需でないビジネスの停止、当然僕の店も閉店を余儀なくされてしまった。
その後は色々あったので話をはしょりますが、僕が給料を稼げるようにオーナーが色々動いてはくれたものの、コロナの前にはどうにもできなかった。
最終的に僕はお金が稼げなくなって日本に帰らざるを得なくなった。
帰国の決断をしたのが、6月。
「日本に戻ろう。」そう思うしかなかった。
こうして僕の約2年間に及ぶ海外生活は終りを迎えた。
振り返って今思うこと
こちらの記事でも少し書きましたが、
2年間海外を放浪し、いろいろな場所に行った。
色々なものを見て、色々な人と話し、たくさんのことを知った。
やっぱり自分は日本人なんだなあと実感する事も多く、刷り込まれた価値観なんかはあんまり変わらないんだなあとも思った。
それでも、旅の中で圧倒的な多様性を見せつけられたことで、前よりは異なる視点で物事を見れるようになった気がするし、「世界の形」が前よりは少しは分かるようになったと思う。
現在と今後
こちらの記事で書いたとおり、帰国した僕は熱心に転職活動を行い、サラリーマンとして東京で働き初めた。
今記事を書いている時点では勤続期間は1年を迎え、仕事でも少しずつできることが増えていってきて、ある程度充実していると言えるだろう。
とは言っても、仕事はずっとリモートワーク。
同僚ともほとんど会うことはない。
仕事内容に不満はない。同僚もいい人たちばかりだけど、時折ふと「リアルじゃないなあ」と思ってしまう。
カナダにいたとき、本当はワーホリ後はアフリカに戻りたいと思っていた。
一番戻りたかったのはスーダンだ。
旅した国の中では1,2を争うくらい好きな国だったし、ブラックアフリカ(黒人が住むアフリカ)でイスラム教という珍しい文化も面白い。
特に僕が訪れたときにクーデターが発生していたのだが、それが沈静化された。
それまでの独裁政権を牛耳っていた極悪な独裁者が追放され、民主化を目指して平和な国になりつつあると聞いていたのだ。
僕はもう一度スーダンに戻り、現地で日本食レストランなどをやりたいと思っていた。
料理は全くできないけど、行ってから現地のものでなんとか試行錯誤していくのも面白いだろうなんて考えて。
ワーホリ中もその話を店のオーナーとしており、オーナーも応援してくれて、そのときの資金になるようにと給料を上げてくれていたのだ。
ちなみにオーナーもアフリカ滞在経験があり、スーダンの隣のエチオピアに半年以上もいたことがあったらしい。
彼ももう一度エチオピアに戻りたいと言っており、エチオピアで喫茶店を出したいなんて言っていた。
一緒にアフリカに渡って、新しい店をやろうなんて話をしていたのだ。
ただ、それもコロナのせいですべてが崩れ去ってしまった。
ちなみにスーダンは最近、進んでいた民主化が完全に失敗し、国は混沌の渦のなかに戻ってしまったらしい。そんなことも、現地にいけなくなった僕には、本当に遠い場所の話のように響いてしまう。
最近もオーナーとは度々連絡を取るけど、アフリカの話はすることはない。
どっちにしても、今アフリカに渡るのは危険すぎるし、僕も一度日本に戻ってきてしまった手前、再び海外にいくのは勇気がいる。
今度日本を出るなら、前よりも失うものは多いだろう。
その時は色々な覚悟をしていかないといけない。もう「再びアフリカに行く」なんて軽々しくは言えなくなってしまった。
ただ、アフリカでの旅は本当に「リアル」だった。
まだ旅をしただけなので、あの場所での生活が本当に自分がのぞんでいるリアルなものなのかはわからないけど、「自分が本当に求めている生き方が、あの場所にあるかもしれない。」その思いをまだ諦められずにいる。
アフリカの熱気が忘れられない。
最近少し考えているのは、JICAの青年海外協力隊だ。
今は派遣が止まっているらしいけど、おそらく再来年(2023年)の春頃には派遣が再開されると思う(と思いたい)。
今度は隊員として現地で生活しながら、アフリカで自分が生きていく道を探してみたいなあなんて思っている。
とは言っても、ぼんやりとそう思っているだけで、気持ちはまだ60%といったところ。
実際どうするかはその時になってみなければわからないけど。
人生は旅。
まだまだ終わらない。
コメント